KAWAI Q80との出会い

Posted: 11月 1, 2012 カテゴリー: Synthesizer & MIDI
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KAWAI Q80との出会い

kawai-q80

KAWAI Q80 1988年発売。定価69800円。32トラックMIDIシーケンサー。各ソングごとに100のモチーフと呼ばれるパターンメモリエリアを搭載。本体メモリ26000音。2DDフロッピードライブ搭載。

こいつとの出会いは衝撃的でした。それまでYAMAHA QX5で打ち込みをしていての不満が一気にすべて解消されました。発売後間もなく飛びついて購入しました。まさに一目惚れ状態でした。どんなにこいつが素晴らしいのか、ご説明いたしましょう。

まず、発売から20年以上経過していますが、我が家ではいまだに現役です。多分、一生手放せません。身体の一部のようなものです。本体メモリは電源を切ってもバックアップがあるので電源を入れれば、常に即作業に取りかかれます。トラック数も当時のシーケンサーとしてはずば抜けた32トラックを装備しています。Q80では各トラックに異なるMIDIチャンネルを混在させることはできません。ですので各トラックに最初にMIDIチャンネルを割り当てておく必要があります。私の場合、ラフな曲のスケッチを作る場合、1〜4トラックあたりまでをch10に割り当て、キック、ハット、スネア、おかずみたいな感じでベーシックなドラムパターンを作ります。次に5〜8トラックをch1にしてベースパターンをいくつか打ち込んでいきます。あとは残りの9トラック以降にウワモノをかぶせていきます。

こいつのすごいのはここからです。使いやすさ、その1は、各トラックのループさせる小節数がバラバラでもOKということです。例えば、キックは1小節ループ、ハットは4小節、スネアは8小節ごとにフィルインが入るなんてこともスムーズにループさせることが出来ます。しかも再生中に各トラックのON/OFF、差し替えなんかも出来るので、ループを走らせながらDJ的にパートを組み合わせていけるのです。私はこれが大好きで16トラックくらいのパターンをループさせながら曲をスケッチしてイメージを膨らませていくという曲作りにハマってしまいました。当時、この方法が出来たシーケンサーは他になかったと思います。まぁ、今で言えばGrageBandとかAcidみたいな、はたまたAbleton Liveみたいな手法なんですが。

こうして曲を煮詰めていってパターンの組み合わせみたいのが出来てきたら、さらに各ソングごとにモチーフと呼ばれるパターンをメモリしておけるエリアが100個もありまして、完成したパーツをモチーフにコピーしていって、最終的にマスタートラックみたいな使い方で残ったトラックにモチーフを並べていってソングを完成させる感じで打ち込んでいましたが、よくライブではソングすら組まずに32トラックを全部使ってループものだけでオケを流し、リアルタイムにトラックをON/OFFして演奏するなんてこともやってました。

それから、もうひとつ当時画期的だったのが、もっぱらリアルタイム入力派だった私の拙い演奏を支えてくれた「アクティブクオンタイズ」という機能でした。クオンタイズというのは入力された演奏情報を16分音符や32分音符などの単位でキッカリとタイミングを補正してくれる便利な機能なのですが、Q80のそれはこれをキッカリではなく指定した幅を持たせて(つまりモタリとかツッコミ感といった演奏のニュアンスを残して)補正してくれるというものでした。これにより、打ち込みといっても生演奏のニュアンスを残した演奏再生が可能となったのです。これは本当に気に入っています。そしてフロッピードライブも装備していましたので、曲がどんどん増えてもOK、これも大きかったですね。これだけの機能で定価69800円は衝撃でした。いまだに隠れたファンが多く中古市場でも手に入りやすいといいます。私は使い込み過ぎてPLAY/STOP/RECあたりのボタンがフッカフカになってしまい、途中2台目を中古で手に入れ、今現在現役で使っているのは2台目君です。後にバージョンアップ版としてQ80EXという後継機が発売されましたが、中古で狙うならこちらのほうがおすすめです。

80年代当時のMIDIシーケンサー事情というとYAMAHA QX派とRoland MC派の2代派閥が有名ですが、私個人としてはこのKAWAI Q80こそ史上最高のMIDIハードシーケンサーだと思います。実際、当時周りのいろんな人に勧めまくっていました。PC全盛の今、敢えてハードシーケンサーを使うメリットはあまりないとは思いますが、ご紹介したような曲作りの方法(まあ、これもPC上で手軽にできますが・・・)ならば必ずや、あなたの創作意欲を鷲掴みにすることでしょう。中古市場やオークションで発見したならば騙されたと思って入手されてはいかがでしょう?もし万が一、「騙された!使えねぇよ!」という場合、私が責任を持ってスペアとして引き取らせていただきますよ。

コメント
  1. 匿名 より:

    私もQ-80を所有しております。使いこなす前にすこし音楽から距離を置いてしまいまして。最近箱を開けてみたら奇麗なまま、動作しました。記事を参考にさせて頂きます。もう一度使ってみようと思います。

    • matsudananda より:

      コメント、ありがとうございます。
      箱入りのままきれいなQ80、羨ましいです。

      Q80はトラックの扱い方の自由度が一番の特徴です。

      記事とだぶりますが、特に各トラック独立で、
      自由にMIDIchを割り当てられる。
      それぞれリピートのON/OFFを指定出来る。
      それぞれ再生中に自由にON/OFF出来る。

      これらは本当に気に入っている機能ですね。

      一度慣れると離れられなくなります。

      是非大切に使ってあげてください。

      • 谷井ダン より:

        ここまでQ80を使い倒して頂きうれしい限りです。直接ではないですが、カワイの電子楽器黎明期に関わった者として感謝の言葉もございません。

      • matsudananda より:

        谷井ダンさん、コメントありがとうございます。

        カワイの関係者の方だったのですね。
        ブログお読みいただき大変恐縮です。

        Q80の一番気に入っている点は各トラックの小節数が違っても自由にループ出来るところです。
        これは他のDAW環境などでもなかなか出来ないところで、未だに手放せない一番の理由です。
        これからも大切に使い続けようと思っています。

        今後とも当ブログをよろしくお願いします。

  2. […] この後、80年代後期から90年代にかけては88年のKORG M1の登場により、オールインワンシンセが流行し、おそらく単体としてのMIDIハードシーケンサーはこの86年〜87年頃が各社から最も多くリリースされていたのではないでしょうか。そして奇しくもこの88年、いわばMIDIハードシーケンサー戦国時代に、私の愛して止まない名器KAWAI Q80が満を持して登場するのです。 […]

  3. ShoeShoe より:

    Q-80の企画開発担当者でございます。涙が出るほど、うれしいコメントありがとうございました。
    当時は、シーケンサー新参者だったので必死でした。他社のものを買って研究し、真似でなく自分が使っても楽しく、わかりやすくと、相当欲張っていました。32トラックとは別に、モチーフという繰り返し使えるショートフレーズの機能も、拘ってました。電源オフでもメモリーが消えない高価なSRAMも、コスト度返しで搭載しちゃいまして・・利益が・・・(汗)どうか、末永くご愛用ください。

    • matsudananda より:

      ShoeShoeさん、まさかの開発担当者様からのコメントに驚きと恐縮を覚えています。
      ブログ、お読みいただきありがとうございます。

      本当に88年当時のQ80の登場はすべてが常識破りの衝撃でした。価格も破格でしたよね、あの機能では。やはりリアルに利益的に厳しいギリギリ?のところだったのですね。

      未だに他の機材では出来ないことがあり(単に慣れということではなく)私にとっては、当時も今もアレに代わるモノがありません。Q80に出会っていなければ私の打ち込み人生も大きく違うものになっていたであろうくらいの製品です。

      まったくの個人の趣味として綴っている当ブログではありますが、様々な方からのコメントや反応が何よりの励みになります。Q80での打ち込み同様、ブログも個人の楽しみとしてまだまだ続けていきたいと思っておりますので今後ともよろしくお願いします。

  4. fuku-chan より:

    Q-80を入手しまして、FDDの動作確認を取りたいのですが、操作方法がわかりません。
    もしよろしければ、フォーマットなどの操作手順をご教授いただけないでしょうか?

    • fuku-chan より:

      すいません、いじってたら自己解決いたしました。m(__)m
      手順は以下のとおりで合っていると思うのですが・・・
      ◆電源投入
      ◆フロッピー挿入(2DD)
      ◆[REST]を4回押す(表示はDISC LOAD)
      ◆ジョグを右回りに回してDISC FORMATを選択
      ◆[ENTER]を2回押す
      ◆DISC unavailableと表示され、フォーマットが完了しない。
      このようになってしまいます。
      店が動作確認を行った中古を購入したのですが、これは故障っぽいでしょうか?
      このような音楽機器を初めて購入したのでどのようなものなのかわからず、
      筋違いとは思いましたが、コメント欄で失礼させていただきました。
      よろしければ、ご回答いただければ幸いです。

      • matsudananda より:

        fuku-chan さん、返信が遅くなり申し訳ありません。
        コメント、ご質問ありがとうございます。

        Q80でのディスクフォーマットの操作手順はその通りでございます。

        中古で動作確認のものを購入されたとのことですが、ディスクドライブまで動作確認しているかどうかとなると正直怪しいと思います。

        何せ発売から25年も経過していますので、一番先に壊れるのが機械的にもディスクドライブと思われます。私の所有のものは幸い2台とも動きますが、いつ動かなくなってもおかしくないものと覚悟はして使っております。

        それに2DDのフロッピーディスクメディア自体、入手が困難になってきていますしね。

        それでも私もまだまだQ80を使い続けていきたいと思っておりますので、また何かご質問などございましたらいつでもお気軽にコメントください。

      • fuku-chan より:

        ご回答ありがとうございます。
        やはり、故障の可能性が高いですか・・・。
        返品を受け付けてくれるみたいなので、残念ですが返品することになりそうです。
        換装用に適したドライブがあればいいのですが、なかなか無いですし、維持してゆくのは
        大変ですね。

        正常な環境がなく、故障かどうか判断しかねておりましたのでご助言いただき助かりました
        この度は本当にありがとうございました。

      • matsudananda より:

        本当に、フロッピードライブやディスクを維持するのは今や現実的ではなくなってきていますよね。

        私も今までのQ80で作ったデータはほとんどフロッピーに保存しており、今後どうしようか検討中です。

  5. 清瀬 公夫 より:

    私もかつてのQ-80のユーザーです。今もデジタルピアノに接続して昔作った曲を
    再生しては昔を懐かしんでおります。私のQ-80は カワイからのバージョンアップの
    お誘いを受けてQ-80exになっており、PCとの連携も可能なのですが既述のとおり
    曲の構造を知る上で、細かいニュアンスの挿入にQ-80はPCと比較しても
    直感的な操作が可能なので デジタルミュージック全盛の昨今ではありますが
    敢えてQ-80と接続されたキーボードから紡ぎ出された音に声援を送りたく思っています。
    音楽作りに長けたカワイの技術陣のこだわりが感じられます。
    これからも活用していきますので 宜しくお願い申し上げます。

    • matsudananda より:

      清瀬 公夫さん、

      コメントありがとうございます。
      Q80ex化、羨ましい限りです。

      やはり現在でもあの操作性に勝るシーケンサーはなかなかないですよね。使い方次第なんでしょうが、私は未だなかなかPC上のDAW環境に慣れません。特にリアルタイム入力派にとってはあの簡便さは手放せませんよね。

      今所有している2台も大事に使っていますが、私も将来的にはQ80exをもう1台くらい入手しておきたいと思っています。中古市場でもexはなかなか出ないんですよね。

  6. albemuth2002 より:

    いつも楽しい記事をありがとうございます。
    Q-80ですが、この記事を参考に使いこなそうと思いましたが、挫折いたしました。興味ある方がいたら現在出品中なのでよろしかったら拾ってください。(^^;)

    • matsudananda より:

      albemuth2002さん、

      コメントありがとうございます。

      Q-80、状態良さそうですね。私のものよりはずっときれいな感じです。
      フロッピードライブはもはやメディアの入手が困難ですから仕方ないですよね。

      Q-80の場合、電源を切っても本体内のメモリが消えませんので、本格的なバックアップはともかく、曲のスケッチなんかに使う使い勝手はやっぱり最高ですね。

      バリバリ使ってくださる方、見つかるといいですね。

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