80′sアーティスト列伝 Howard Jones vol.2

今回はHoward Jonesの2ndアルバム周辺についてご紹介いたします。と、その2ndの前に彼は1stアルバムからの曲、そしてシングルヒットした「Like to get to know you well(邦題:君を知りたくて)」などの12インチを収録したミニアルバムを発表したのですが、これがまた素晴らしい出来でした。

Howard Jones 12inch Album
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収録曲はM1の”Always Asking Questions”でスタートするのですが、これがアルバム未収録曲で8ビートのシンプルなノリに印象的なサビのフレーズが気持ちいい曲です。そして代表曲M2の”New Song (New Version) “こちらはアルバムとは少しアレンジや使われている音色が異なり、私はこのバージョンが一番好きです。コードバッキングで使われているオルガンの音色が何ともまろやかで心地いいです。おまけに間奏にピアノソロなんかも入ってまして聴き応え満点の出来です。続くM3の”What Is Love? (Extended Mix) “も途中ベースパートだけになったりしてバッキングのオケの部分を十分に堪能することが出来て、当時耳コピしていた私としては非常に重要な参考資料となりました。このバージョンのベースってアナログシンセの太い音とDX7のゴリっとした固めの音が多彩に重なっていて複雑なんですよね。

M4の”Like To Get To Know You Well (International Mix) “は1stアルバム未収録でシングルヒットしましたが、こちらはインターナショナルミックスと銘打ってドイツ語やフランス語の歌詞でも歌っております。この曲はカッチリしたミドルテンポのシンセパーカッションぽいシーケンスから始まるイントロが、何とも当時未来的に聴こえてかっこ良かった!そしてこの曲もシンセベースがめちゃめちゃかっこいいです。このタイミング、ノリ、真似してもなかなか出ないんですよね。あとサビのハイトーンヴォイスが初期の彼の作品らしい若々しい味を出しております。Aメロのラップっぽいノリとの対比も狙ってますよね。M5、”Pearl In The Shell (Extended Mix) “では過激なサックスソロが聴けたり、M6の”Total Conditioning”もアルバムバージョンとは違って後半はかなり楽しめます。この12インチアルバムは当時ドイツのみでCD化され、国内では同じ収録曲のものがミュージックテープでしか発売されませんでしたのでファンの間でも非常に貴重な音源となっております。

Howard Jones Dream Into Action
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こちらは2ndアルバムです。大ヒットした1stに比べてより幅を広げてます。よりファンキーなプレイやよりポップに、より実験的に・・・欲張りなアルバムで悪く言えばまとまりがない感じもしますが、1stに続いて未だに大好きなアルバムです。この当時、ライブではそれまで一人ですべてをこなしていたのが、メンバーを増やしています。メンバーは、実弟であるMartinにベース、そしてシモンズドラムのパッドに囲まれて立ったままプレイするドラマーTrevor Morais、コーラスにAfroZodiacというグループを従え、ライブでの彼のプレイにも余裕が生まれ、表現が幅広くなっていました。とにかくこの時期は彼にとって長い下積みの苦労からやっと成功を手にして、それまでの彼の周りのすべてが変わった時期ではないでしょうか。成功を手にしてお金が入り、機材も人も自由に使える?ような環境がライブでもレコーディングや作曲にも影響を与えていろいろ欲張りに(良い意味でね)なっていた時期のような気がします。

そして2ndアルバムの内容ですが、M1の”Things can only get better”はとてもファンキーなベースラインとブラスサウンドが印象的なイントロで始まります。「人生うまくいくだけなんだから怖がらないで」とばかりに自分の成功が歌詞にも自信として現れていて勇気づけられる曲です。バッキングやシーケンスサウンドなどではおいしいシンセ音も健在ですが、メインのリフにシンセサウンドだけでは飽き足らず生のブラスサウンドを導入していますし、ベースもシンセとエレキベースのサウンドがミックスされているような太いサウンドになっています。そしてBメロのハイトーンヴォイスも健在です。M2の”Life in One Day”は気持ちのいい明るいサウンドのリフで始まり、すごくほっこりするメロディで大好きな曲です。「人生そんなに焦ることないよ、1日で生きるなんて考えるなよ」となんとも楽天的な歌詞でのほほんとなっちゃいます。バッキングのオルガンがさりげなく気持ちいいです。M3はちょっと遅いテンポの実験的サウンド満載の”Dream Into Action”でアルバムのタイトル曲です。シーケンスパート、エレクトリックなドラム、それまでの彼にないタイプの曲です。ベースはM1のようなエレキベースとシンセベースの合わせ技です。Bメロではテープの逆回転のような不思議なバッキングも聴かれます。何度聴いてもいろんな技が発見出来る、味わい深い曲です。何度か耳コピでがんばってみましたが、演奏はさておき、私個人でこの曲のサウンドを再現するのは難しいです。どうやって出しているのか分からない音が多過ぎます。

M4はピアノのみのシンプルな”No one is to blame”で、後にフィル・コリンズがプロデュースし大ヒットしたナンバーです。彼はデビュー当時シンセのイメージが強過ぎましたが、ピアノに対する愛着も相当なものでピアノだけで表現する彼の曲こそ、彼のキャリアの原点が見えるような気がします。そういえば、初期の彼はステージではYAMAHA CP80というエレクトリックピアノを愛用していました。CP80は今のデジタルピアノのようなサンプリング音源ではなく、本物のグランドピアノのように弦が張ってあり、それをピックアップで拾いアンプで増幅するという構造上は極めて本物のピアノに近く、キータッチや表現もそれに近いものがあり、さらに電気的に手軽に音が拾え、本物のグランドピアノよりは可搬性も良いという当時としては画期的なエレクトリックピアノの代表機でした。1stアルバムの曲では”Hide and Seek”や”Don’t Always Look at the Rain”、そして”Natural”などもライブではこのCP80でプレイしていました。

YAMAHA_CP80a
YAMAHA CP80

続いてM5の”Look Mama”です。歌い出しの「Look Mama」のメロディがキャッチー過ぎます。この曲のバックのシーケンス音はとてもパーカッシブでコチャコチャ鳴ってて気持ちいいです。あとリズムが珍しく大ノリですね。ドドタンドドタンみたいな。ま、だからシンセの細かいシーケンス音も気持ちよく聴こえるのですが。この曲はライブではYAMAHA KX5を持ってギターソロっぽいサウンドをやってましたね。ヴォイシングとかベンドの使い方とかすごく勉強になりました。M6の”Assault and Battery”はピアノのイントロで始まり、とても印象の強い曲です。アレンジも実験的な進行がかなり見受けられます。ポップではないのですが、菜食主義者として知られる彼自身とてもこだわりのある曲なんだと思います。途中のコーラスだけになるところのメロディが何とも言えません。M7の”Automaton”もロボットをイメージした近未来サウンド満載のSFチックな曲で、シンセの使い方がめちゃめちゃかっこいいです。個人的にこのアルバムで最もテンションの上がる曲です。この曲もサウンド面では再現するのが難しいですね。M8 “Is There a Difference?”はこれまたほっこりする曲です。M7からこの曲に流れると何か安心してしまいます。この曲もウラメロのシンセとかマリンバっぽくコードを刻む音など変わったシンセ音がたくさんあります。M9の”Elegy”はしんみりした曲でエレピのバッキングにチェロが絡んでいたりシンプルに真剣勝負といったところでしょうか。染みる曲です。M10の”Specialty”はぶっ飛んだ打ち込みのリズムにラップ調のAメロ、いきなり大ノリのサビと激しい展開の曲で面白いです。M11の”Why Look For The Key”はこれもシンプルに良い曲です。でもバッキングのキラキラシンセがエフェクトされ過ぎててどう弾いてるのかさっぱり分かりません。そしてM12の”Hunger For The Flesh”はホラー映画ばりの凝ったイントロで始まります。こんな曲が書けるポップアーティストってそうはいません。アレンジ力もさることながら、彼の作曲能力の引き出しの多さを感じさせられます。コード進行なんかも非常に興味深いです。と当時のこの2ndアルバムのオリジナルではここまでの収録なんですが、現在入手可能なCDですとあと2曲入ってます。M13の”Bounce Right Back”はかっこいい16ビートにのせてラップ調で始まるご機嫌なナンバーです。ライブではパントマイマーのJed Hoileとともにコートを羽織って「旧友と道を歩いてたんだ」という歌詞で、簡単なシーケンスに乗せてラップ調で語り、CP80を弾きまくりながらパファーマンスしてましたね。M14の”Like to get to know you well”は先ほどご紹介しました12inch albumに収録されているもののシングル版です。そして彼のキャリアのスタートである1stから、この2ndとプロデューサーはあのエレポップの巨匠、Rupert Hine(ルパート・ハイン)です。Howard Jones自身の作曲・演奏テクニックを遺憾なく発揮させたのは彼の手腕も大きかったと思います。

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