80′sアーティスト列伝 Howard Jones vol.4

Posted: 12月 10, 2012 カテゴリー: 80's Music & Artist
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80′sアーティスト列伝 Howard Jones vol.4

Howard Jones vol.4になりましたが、今回は89年の4thアルバム「Cross That Line」についてです。このアルバムはいろんな意味で転機になっているところがあり非常に興味深いアルバムです。それまでの活動を振り返ると1stアルバムではほぼ一人で制作、ライブを行い、2nd・3rdアルバムではバンドを組み、ツアーもバンドでとプレイやサウンド的にも充実させてきました。ただ、ライブでの一部のピアノの弾き語りによる曲を除けば、それまで彼の特徴となっていたのは間違いなくその巧みなシンセの使いこなしでした。また3rdではサンプリングサウンドも取り入れ、打ち込みサウンドに幅を持たせ、アレンジ面でも曲を進化させていました。

cross_taht_line
Howard Jones ”Cross That Line” 1989年発表。

その流れでこの4thアルバム「Cross That Line」を聴くとシンセ弾きとしては拍子抜けするくらいシンセの使い方が薄れています。もはやシンセポップとかエレポップではありません。完全にないわけではありませんがいわゆる”シンセ”のサウンドは本当にちょっぴりです。彼が手弾きしているであろういろんな楽器のサウンドもリアルになり過ぎてそれはあの1stのシンセリフのような使い方ではありません。もちろん、ギターやドラムなど他の参加ミュージシャンもいたりしますが、ロックバンドの音でもなく、かといってシンセポップでもなくその中間的なサウンドです。

そしてそれまでのアルバムとの決定的な違いは商業的には振るわなかったようです。彼自身もこの頃はそういったことよりも家に籠って作りたい曲を書き、自分のやりたい音楽の方向性を再確認していた時期のようです。なのでアルバム通して、彼本来のやりたかったことが感じられる、聴けば聴くほど味の出る、そんなアルバムです。

M1の「The Prisoner」はバイオリンのリフで始まる曲で、ヴォーカルは彼らしいメロディが冴える曲です。バッキングのエレキギターも程よく小気味よいノリです。M2の「Everlasting Love」はイントロ・間奏のピアノが印象的で歌のメロディもキャッチーでポップな曲に仕上がってます。ここまで2曲ではシンセは本当にパッド系の音色くらいしか使われていなくリフっぽい目立つシンセ音はあまり入っていません。M3の「Power House」はブラスのフレーズがとてもインパクトが大きいです。歌い方は結構早口でまくしたてる風でテンポよく聴けます。間奏のオルガンがロックですね。

M4はピアノとフルートの掛け合いのメロディが美しい「Last Supper」で、サビでは彼お得意の切ないハイトーンヴォイスも聴けます。ピアノ系の曲でこういうメロディ書けるのって本当憧れます。2番のサビ終わりからイントロのメロディに戻るときのコードとか本当切な過ぎる展開で泣けます。

M5の「Cross That Line」は横ノリ系?の粘っこいグルーヴがたまらない大人のビートって感じです。イントロや間奏のブラスリフもカッコいいし、ドラムやベース、ギターのバッキングも渋い音作りしてます。またとってもジャジーなフルートソロも入ってたり、エンディングのミュートトランペットなんかも聴き応え満点で大好きな曲です。

M6の「Out Of Thin Air」はピアノソロのインストナンバーでとても複雑でありながら一度聴いたらいつまでも印象に残る名曲です。彼のピアノに対するこだわりが伝わってきます。何度も聴き込むうちにすべての音が口ずさめるようになりました。もちろんピアノで弾くことはとても出来ませんが。ピアノだけでのメロディながら最後まで聴かせる勢いがある曲です。

M7「Guardians Of The Breath」は不思議な雰囲気もののサンプリング音などで始まる曲ですが、曲自体はこれまたメロディで聴かせる(バッキングはものすごくシンプル!)味わいのある曲です。M8の「Flesh Air Waltz」はストリングアレンジのワルツです。こういう清純?な感じのきれいなメロディも彼の得意技です。まるで彼の人柄が出てるような曲ですね。

M9の「Wanders To You」は打って変わってダークな曲ですがM5の「Cross That Line」同様、とても粘っこい大人のグルーヴが聴ける渋い曲です。ブラスアレンジもいい感じです。個人的にはこのアルバムではM5とM9が一番聴いてる好きな曲です。何がってこのノリがたまらないですね。もちろん他の曲もいいのですが。

M10は先ほどのM7にも通じる不思議サウンドで始まる感じの凝った音作りの曲ですが、この曲のメロディも独特で他のどの曲とも感じが違います。ちょっとダークで重い感じです。エンディングには彼の息子さんの笑い声なども入ってたりします。

というわけでおそらく当時の彼のこのアルバムのコンセプトはシンセサウンドからの脱却ではないだろうかと思います。いろんな可能性を試しながら曲作りの幅を広げ、さらにはシンセがなくてもこれだけの曲が書けるという挑戦のような気がします。実際、メロディがとても印象的な曲が多く、派手なアレンジはないもののいつまでも聴ける素晴らしいアルバムで初期の作品とともにいまだにアルバム通してよく聴いています。彼はこのアルバムでそれまでのシンセヒーローのイメージから見事に脱却しシンガーソングライターとして成長した転機といえそうです。

コメント
  1. […] 今日はHoward Jones vol.5というわけで彼の5thアルバム「In The Running」のご紹介しましょう。と、しかしすでにこのアルバムは92年発売ですので80′sではないのですが・・・前回ご紹介しました4thアルバム「Cross That Line」は、それまでの彼のシンセヒーローのイメージからの脱却がテーマで、音楽的に様々な実験的要素を含んだものでした。それから3年かけて出来たこのアルバムは、シンプルに曲作りにこだわったアルバムです。それは派手なシンセサウンドよりも彼の原点であるピアノプレイを基本とした音に現れています。彼はこのアルバムの発表当時のインタビューで語っています。 […]

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